2005年4月29日
最近できたばかりの「絵金蔵」を見学するため赤岡町を訪れました。
国道から信号交差点を東に折れ商店街に入るとすぐに駐車場があり、そこに車を置いて歩き始めました。
狭い旧道のことを思い、駐車に困るのではないかと予想してきましたが、結構あちこちに「絵金蔵」見学の
ための駐車場が確保されていました。 --> 「絵金蔵」公式ホームページ
絵師の金蔵−略して「絵金」と呼ばれる。
土佐藩家老桐間家の御用絵師林洞意は、江戸に出て狩野派に入門して短期間で技術を身につけてもどり抜擢される。
しかし、贋作事件に巻き込まれ城下追放となる。
弘瀬洞意となり空白の10年の後、赤岡にて庶民の「絵金」として酒蔵にて絵を描く。(1812〜1876)
墓は岡田以蔵と同じ高知市北部の真宗寺山。墓碑銘は竹友斎。
T字路を南に進むとレトロなお店があちこちにあります。
すぐに骨董屋さん?が声をかけてくれました。「近道はここから
だけど、向こうから町並みをまわって見てくださるとうれしいです。」
次の辻に行き当たると電気屋さんがあり、「絵金蔵」の前売り券を
売っていました。前売り券を買っていくと少し安いそうです。お店
で応対していただいた人も明るいきさくな女性でした。
ここには町並み探索のための地図も用意されていました。
JAビルの角を曲がると「絵金蔵」が見えました。元は農協の米蔵だったそうです。
若い女性の蔵長(くらおさ)さん、副蔵長さん、そして今日は年配の
男性のボランティアさんにいろいろ説明していただきました。
3つの蔵がひとつにつながっているのを改装したようですが、漆喰の
白、水切りのある壁が印象的でした。
蔵の前のひさしの下はロビーとなっていて、お茶の接待もありました。
ひとまわり見たあと、のどが乾いて、このお茶はありがたかったです。
この写真の右側には小さくてかわいいトイレもありました。
ここでも女性のボランティアさんらしき人が掃除をしていて、気持ちの
良いあいさつを交わすことができました。
本物の絵金の絵は年に一度の「絵金祭り」の日にしか見ることができないこと。
絵は150年の間、町内会が大切に守ってきたものなので、それを後世にまで伝えたいこと。
だから、展示ではすべてレプリカを使用しています。本物はのぞき穴から見る2枚だけということなどが入り口に掲示されていました。
「蔵内撮影禁止」ですので、許可申請書を提出して各展示室の全景だけの許可をいただきました。
第一展示室です。ここの夜のろうそくの灯りの演出が面白い。
外から入るとその明暗の差が激しく、足元も見えないので提灯を渡されます。
それも手作りの電灯のしくみになっていて感心させられました。
その提灯を持って一つ一つのろうそくで照らされた絵と解説文を見て回るのです。
背丈ほどある歌舞伎絵の屏風は、その鮮烈な赤によりおどろおどろしい迫力に満ちています。
第二展示室です。「蔵の穴」という穴が壁にふたつあいています。
この穴から隣の収蔵庫にあるそれぞれ違う本物の作品を見ることができます。
保管している23枚を順に毎月入れ替えをしているそうです。
左の方には大胆にデフォルメされた「絵金」の人形が絵を描いていて、
この大きな絵をこうやって描いていたのかと納得できました。
第三展示室の入り口です。
第二展示室から階段を上がり、二階部分になります。
ここにはおどろおどろの絵だけでなく、絵金の素顔に迫るこっけいで
楽しい絵や美人画などが所狭しと展示されていました。
他の有名な画家との比較などもあり、興味のわく展示でした。
また、展示室の周囲の壁には地域の方の手作りと思われる、布でできた瓦が張り巡らされていて、
町おこしの熱意を感じました。
見逃したのかもしれませんが、年齢に従って作風が変わっていくようすなども絵を並べてあればよかったかな。
この第三展示室はもう少し展示品を絞ってでも、若い蔵長さんたちにがんばってアイデアを出してもらって、
毎年テーマを変えて展示すれば、きっとリピーターもできると思いました。